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乗り降りのしやすい車の選び方

「車の乗り降りがスムーズかどうか」──これは、実際に日々の暮らしの中で車を使う人にとって、想像以上に重要なテーマです。

車の性能やデザイン、安全性はもちろん大切ですが、こと「乗り降り」に関しては、カタログやスペック表だけではなかなか伝わらないものがあります。特にご高齢の方や、足腰に不安を抱える方、小さなお子さんを育てる親御さんにとっては、「車に乗る・降りる」という行為そのものが、日常のちょっとした負担になり得るのです。

私自身、年老いた両親を連れて病院に通ったり、子どもを保育園に送り迎えしたりする中で、「ああ、もっと乗り降りがラクな車にしておけばよかったな…」と後悔した経験があります。そんな思いから、今回は「乗り降りのしやすい車選び」について、単なる情報だけでなく、実際の暮らしのリアルな視点を交えてお伝えしていきます。

まずは「乗り降りのしやすさ」とは、具体的にどういうことなのかを考えてみましょう。

一つ目のポイントは「ドアシルの高さ」です。ドアシルとは、車に乗り込むときにまたぐ必要のある部分。ここの高さが高いと、足を大きく上げなくてはいけません。これは若い人なら気にならないかもしれませんが、膝や腰に痛みを抱える人にとっては非常に厄介です。逆にドアシルが低い車なら、まるで椅子に腰かけるような感覚で自然に体を滑らせることができ、乗り降りの動作がとてもスムーズになります。

次に注目したいのが「ドアの開き具合」。ドアの開口部が広く取られていると、車内へのアクセスが楽になります。特にミニバンのようにスライドドアがついている車は、ドアが横にスッと開いてくれるので、駐車場のような狭い場所でも、隣の車にドアをぶつける心配がなく、乗り降りがしやすいのです。さらに、自動で開閉できるタイプであれば、子どもを抱っこしたままでも、ワンタッチでドアを開けることができるので、両手がふさがっているときにもとても助かります。

それから、「シートの高さ」も実は見逃せない重要なポイントです。床が低すぎても乗り込むときに腰をかがめる必要があり、逆に高すぎるとよじ登るような動作になってしまう。理想的なのは、自分の身長に対して、腰の高さとシートの位置がちょうど同じくらいになる車。これなら、スッと座って、スッと立ち上がれるのです。

このような細かな設計の違いが、日々の快適さを大きく左右します。そしてそれは、単なる「便利さ」だけではありません。例えば、筋力が弱った高齢者にとって、乗り降りのしやすい車は、転倒や怪我のリスクを減らす「安全装置」としての役割すら担っているのです。

では、実際にどんな車がこうした点に配慮されているのでしょうか。

最近では多くのメーカーが、高齢者や子育て世代のニーズを汲み取った車づくりに力を入れています。たとえば、日産セレナやホンダのステップワゴンは、低床設計でスライドドアも完備しており、乗り降りのしやすさで非常に評価が高い車種です。トヨタのシエンタやルーミーも同様に、小回りが利くコンパクトさと、快適な乗降性を兼ね備えており、都市部での使用にも向いています。

また、SUVの中にも、シートが程よい高さにあり、ドアの開口が広く、かつ車内空間に余裕があるタイプが増えてきました。スバルのフォレスターやトヨタのライズなどは、ファミリー層からの支持が厚いモデルです。

とはいえ、カタログやネットの記事だけを見て「これがいい」と決めるのは少し早いかもしれません。なぜなら、乗り降りのしやすさというのは、最終的には「その人の体格や使い方」によって感じ方が異なるからです。

実際に車を選ぶ際には、ぜひ試乗して、自分の体で「乗ってみる・降りてみる」を体験してみてください。助手席は良くても、後部座席は意外と狭かった…なんてこともありますし、手すりの位置が合わなくて結局支えにならなかった、というケースも少なくありません。家族みんなで一緒に試してみるのが理想です。

それと、もう一つ見落としがちなポイントとして「グレードの違い」があります。同じ車種でも、グレードによってシートの素材やドアの仕様、手すりの有無などが違ってくるため、実際に展示車や試乗車を見て、装備を確認することが大切です。

「車の乗り降りが楽になるだけで、こんなにも生活が快適になるなんて」──これは、私が母の送迎を始めたときに感じた素直な実感です。日々の何気ない行動がスムーズになると、気持ちにも余裕が生まれます。家族の誰かが「今日は疲れたから乗り降りが面倒だな」と感じる回数が減る。それだけで、車という存在が「移動手段」から「生活のサポーター」へと進化するのです。

あなたや、あなたの大切な家族が、これからの毎日をもっと軽やかに、もっと安心して過ごすために。ぜひ、「乗り降りのしやすさ」という視点から、次の車選びを見直してみてください。

どんなに高性能でも、どんなに人気の車でも、実際に「あなたの暮らしに寄り添えるかどうか」が一番大切なのですから。

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